たくさんの花蜜は木々の贈り物
西荻はちみつの「元」となる主な蜜源植物は近くの都立善福寺公園にあるサクラ、ユリノキ、トチノキです。サクラの木の数は優に120本を超えます。
5月の初めには樹高10メートル以上のユリノキ、トチノキ数十本の樹上で大きな花が競うように咲き、中にたくさんの蜜を湛えます。
いろいろな蜜源植物が残されている理由
さらに百花蜜の味わいに深みを与えているのは、それ以外の多様な蜜源植物の存在です。善福寺公園のエリアが1930年(昭和5年)に風致地区に定められたため、とくに在来の植物の植生が維持され続けているのです。
また、この善福寺公園には野鳥が多く棲息するため「野鳥の聖地」とも呼ばれてきました。1934年(昭和9年)、中西悟堂氏らによって創立された「日本野鳥の会」の拠点にもなった土地でもあります。
多くの生き物が暮らす豊かな生態系のなかで植物の多様性が保たれているおかげでミツバチたちの栄養状態は良く、健康に育つことができています。西荻はちみつのおいしさの秘密がここにあります。
『野鳥の父、中西悟堂をめぐる人々 中西悟堂生誕120年』杉並区立郷土博物館編/2015.10