サクラの蜜と百花蜜
2016年に西荻窪で初めて採ったのが「春の百花蜜」です。百花蜜とは単一の花の蜜ではなく、ミツバチによるいろんな花の蜜の天然ブレンドハチミツのことです。
ミツバチが飛び回る、巣箱から半径約2㎞四方の蜜源植物の種類が味を特徴づけます。つまり、地域の自然環境の特性が反映されるのが百花蜜の魅力です。
サクラのハチミツを採ったあと4月から5月にかけて、ユリノキ、トチノキの巨木の花が咲き競い、それに他の蜜源植物の蜜が加わった絶妙なバランスの「春の百花蜜」が採れます。
6月から8月には甘みも色も濃厚なハチミツが採れます。春とはまったく趣の違ったハチミツで、これを「夏の百花蜜」と呼んでいます。
西荻窪で育てられた、季節を映すハチミツ
春から夏へ、5か月ほどの間に順番に咲く花々からミツバチが集めた蜜を採蜜してそのまま瓶詰めしています。
「春の百花蜜」も「夏の百花蜜」も、それぞれ数週間ごとに3回以上採蜜します。1回にまとめて採蜜してタンクで混ぜてしまうのではなく、こまめに採蜜してそのつど瓶詰めをし日付を記しています。同じ「百花蜜」でも採蜜時期によって微妙な違いがあるので、咲く花の違いに伴うハチミツの風味の違いを楽しんでいただくことができます。
地元でハチミツの販売を始めたときから、いつもお客様には試食をしていただいています。多くの方が、採れる時期の違いによるハチミツの微妙な風味の違いを楽しんでくださいます。そんな経験から、私どもはハチミツを単なる農産物ではなく生鮮食料品のように捉えるようになりました。
採蜜から瓶詰めにあたって、季節の花(蜜の元)の種類の変化をできるだけ損なわずハチミツの風味に映し出すよう努めています。「西荻はちみつ」とは、たんに「西荻窪で採れた」というだけではなく「西荻窪の人々に育てられたハチミツ」という思いの込められた名前です。